なぜプロジェクトの外注は失敗するのか? PL300名への調査で見えた傾向と対策

多くのシステム開発の現場では、リソース不足や専門スキルの補完を目的にプロジェクト外注を活用されています。一方で、発注側の実感として「進捗が思わしくない」「品質が安定しない」といった悩みは絶えません。

実際、弊社がシステム開発プロジェクトリーダー300名を対象とした調査では、プロジェクト途中で外注先との契約終了や切り替えを経験した人が56.7%にのぼっています 。

切り替えの理由は技術力不足だけではありません。コミュニケーション不足やチームワークの欠如といった、目に見えにくい「非技術的な要因」が上位を占めています 。

本記事では、この調査結果をもとに外注ミスの正体を言語化します。

なぜ多くのプロジェクト外注がうまくいかないのか

外注の失敗は「外注先の選定」と「契約中の運用」の両方のフェーズで発生します。

弊社がシステム開発プロジェクトのリーダーに行った調査では、外注活用時の主な課題として「品質不安(52.3%)」「属人性(41.7%)」「社内の人材が育たない(39.0%)」「理解の齟齬(34.3%)」の4つが挙げられています 。

上記4つの課題の具体例は以下の通りです。

品質への不安
・成果物の完成度が想定を下回り、受け入れ時にトラブルが発生する 。
・過去の類似案件と比較して不具合の発生率が異常に高い。

属人性
・特定のメンバーしか状況を把握しておらず、引き継ぎができずにプロジェクトが停滞する 。
・外注先独自の開発ルールや非標準的な環境に依存し、発注側が客観的に進捗や中身を管理できなくなる 。

社内人材の育成不足
・外部への依存度が高まり、自社に技術知見が蓄積されない。
・社内エンジニアが「外部への指示出し」のみに終始してしまい、自律して開発を完遂できる組織能力が失われる 。

理解の齟齬
・仕様や優先順位の前提がズレて、大幅な手戻りが発生する。

留意していただきたいのは、上記の課題は単に技術力が高い会社に頼めば解決するわけではない点です。

情報の渡し方や意思決定の段取りといった『外注を運用する際の仕組み』に不備があれば、たとえ高単価なベンダーであっても失敗のリスクは残ります 。

外注先の切り替え「56.7%」が発生する理由

システム開発の現場では、慢性的なエンジニア不足を解消するために外注を利用するのが一般的です。しかし、実態として半数以上のリーダーが運用に苦戦しています。

調査によれば、過去にプロジェクトの途中で外注先との契約終了や切り替えを経験したリーダーは56.7%にのぼります。2人に1人が、当初の選定が期待通りではなかった経験をしていることになります。

切り替えが発生する最大の理由は「技術力不足(76.5%)」ですが、注目すべきはそれに続く非技術的な要因です。

  • コミュニケーション不足(40.6%)
  • プロジェクトの理解不足(31.2%)
  • チームワークの欠如(25.3%)

つまり、外注ミスの多くが実装能力に加え、進め方の設計(コミュニケーションパス、会議体、判断基準の定義)に起因しているのです。

こうした失敗要因は、プロジェクトの「予算規模」によって異なる傾向にあることが調査で判明しました。

そこで、次はプロジェクトの予算規模別に見た外注先の切り替え理由を見ていきましょう。

小規模プロジェクトで多発する「理解不足」と「人間関係」

予算3,000万円未満の小規模プロジェクトにおいては、「プロジェクトの理解不足(40.5%)」や「人間関係(29.7%)」が切り替えの大きな要因となっています 。

少人数のチームでは、やり取りの密度が高くなるため、一度人間関係がこじれると修復が難しく、プロジェクト全体が麻痺してしまいます 。小規模案件でのミスを防ぐには、スキルの確認よりも先に「仕事の前提」を揃えることが重要です。

大規模プロジェクトを停滞させる「納期遅れ」と「体制不備」

予算1億円以上の大規模プロジェクトでは、「納期遅れ(32.1%)」や「体制・設計不備(33.3%)」が切り替え要因として顕著です 。

大人数体制では個人の理解の差はチームでカバーできますが、その代わりに「体制設計の甘さ」や「粗い進捗管理」といった組織的な弱点が遅延として表面化します 。

コスト重視と技術重視、それぞれに潜む選定の落とし穴

前章では、プロジェクトの規模によって「表面化しやすいトラブルの傾向」が異なることについて触れました。

そもそも、なぜ自社のプロジェクトにミスマッチな相手を選んでしまうのでしょうか?

調査データをさらに深掘りすると、トラブルの根本原因は、発注側が「何を最優先にしてパートナーを選んだか」という入り口の段階に潜んでいることが明らかになりました。

コスト重視派の落とし穴は「技術力不足」8割超

コスト削減を主眼に置く層は、外注先の探索が人脈や既存取引先に偏る傾向があり、結果として切り替えが発生しやすくなっています 。

その理由の81.8%が技術力不足です 。

コストを追求するなら、逆に「要件の徹底した整理」と「スキルシートの厳格なチェック」を行わなければ、かえって管理工数が増大しコスト高になります 。

技術重視派の落とし穴は「コミュニケーション不全」

技術力を最優先にする層でも、外注先の切り替え率は62.3%と全体平均より高い傾向にあります 。

理由はコミュニケーション不足(50.0%)やチームワークの欠如(40.6%)です 。 

「技術があるから察してくれるだろう」という期待は危険です。契約前にコミュニケーションの窓口や頻度を要件として定義しておきましょう 。

まとめ

外注先の切り替え経験は56.7%という高い水準にあります 。しかし、その失敗の多くは、契約前の準備と開始後の「運用の仕組み化」で回避可能です。

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システム開発プロジェクトリーダー300名に聞いた外注活用のポイント

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