属人化から脱却。パーソルHDがSTELAQと築いた「自走できる」テスト体制とは

 

人材派遣や人材紹介、BPOなど多様な人材サービスを展開するパーソルグループ。その持株会社であるパーソルホールディングス株式会社様は、グループ横断のIT基盤を支えるなかで、システム品質管理の属人化とクオリティのばらつきに課題を抱えていました。

その解決策として、品質水準の明確化とナレッジの社内定着を図るべく、STELAQの「第三者検証サービス」をご活用いただいています。

今回はグループAI・DX本部ビジネスITアーキテクト部ファイナンスDX室の宇野様と桒原様に、ご依頼の背景や支援内容、取り組みの成果、そして今後の展望についてお話を伺いました。

パーソルHD_ロゴ前写真

グループ全体のDXをリードする役割

──はじめに、貴社の事業内容を教えてください。

宇野様:パーソルグループは「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンのもと、人材派遣や人材紹介、システム開発、BPOなど多角的なサービスを展開する総合人材サービス企業です。 そのなかで私たちパーソルホールディングス株式会社は、グループの持株会社として、149社(2025年4月時点)におよぶグループ会社全体の経営支援や一体経営の推進を担っています。人事や財務、IT、サステナビリティなど、各種経営基盤の整備と運営を通じて、グループ全体の価値最大化を目指しています。

──お二人が所属されている、グループAI・DX本部についても教えてください。

宇野様:グループAI・DX本部は、AIを中心としたテクノロジーによってパーソルグループ全体のDXをリードする組織で、現在は170名ほどのメンバーで業務を行っています。

その中で私たちが所属している「ビジネスITアーキテクト部」では、人事労務系や経費精算など、グループの従業員が日常的に利用するような共通業務システムを取り扱っています。

品質のばらつきと品質検証の属人化が課題だった

──STELAQに依頼する前は、どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?

宇野様:以前はテストや品質管理を当社メンバーが担当していたのですが、その多くはテストの専門家ではなく、「過去に経験があるから対応できる」といった属人的なスキルに頼らざるを得ない状況でした。人によって品質にばらつきが生じやすく、特にテストケースの妥当性について明確な判断ができない点が大きな課題でした。

システム開発のプロジェクトにおいて、要件定義や設計・開発などの上流工程にはパートナー企業の力を借りるケースも珍しくありませんが、最後の品質管理の部分がどうしても後回しになりがちでした。その結果として、リリース後に不具合が発生し、「もっとテストしておくべきだった」と振り返る場面も少なくなかったのです。

そこで、品質水準の底上げと社内にナレッジを残すことを目的に、テスト支援をしてもらうパートナー企業のアサインを検討し始めました。

桒原様:部内で品質基準が定められていなかったことも課題の1つでした。そこでテスト支援だけでなく、その基準を一緒に作るところから伴走いただけるパートナーを探していました。

グループAI・DX本部 ビジネスITアーキテクト部 ファイナンスBITA室 宇野 祐太氏

テストの伴走支援だけでなく、内製化のためのフィードバックが決め手に

──STELAQに依頼したきっかけを教えてください。

宇野様:私たちはテストの設計・実行だけでなく、内容をフィードバックしてもらい、将来的に社内で内製化できる体制を構築したいと考えていました。STELAQを含めて3社ほど打診しましたが、「テスト部分だけなら可能」、「ノウハウ提供や内製支援までは難しい」と回答する企業も多く、要望すべてにお応えいただける企業は意外と少なかったのです。

それらの点においてSTELAQは我々の課題意識や要望を丁寧に汲み取ってくださり、体制やスケジュールの提案も具体的で、「この会社なら安心して任せられる」と感じて依頼することを決めました。

テスト設計から実行、ナレッジ提供まで一気通貫で支援してくれた

──実際にSTELAQからどのような支援を受けたか教えてください。

宇野様:2023年に実施した最初のプロジェクトでは、「UAT(受け入れテスト)」の工程におけるテストの計画立案から仕様への落とし込みや実行、そして結果のフィードバックまで一貫して対応いただきました。2024年にはフェーズが変わり、「システムテスト(総合テスト)」の工程にも同様に関わっていただきました。

桒原様:私が担当したSAP導入プロジェクトでは、総合試験の品質確保と知識・ノウハウの共有の部分でご協力いただきました。今回のプロジェクトはSAPだけで完結するわけではなく、既存の業務を維持するための周辺システムも含めて複数のシステムを並行稼働させる必要があり、非常に複雑な構成でした。

そのなかで「どのように検証を積み上げればゴールに近づけるのか」という観点でもご尽力いただいたと感じています。

また、日々のコミュニケーションも密に行っていただきました。毎日の朝会を通じて進捗報告や優先順位の整理を行い、必要な場面ではITコンサルティング会社との間に入って調整してくださるなど、非常に心強かったですね。

──STELAQのメンバーの印象はいかがでしたか?

桒原様:特に印象に残っているのは、当事者意識の高さです。単にタスクをこなすのではなく、「自分がこのシステムを使う立場だったらどうか」という目線で動いてくれていました。最初はシステムにも不慣れだったと思いますが、最終的にはコンサルティング会社の担当者に対して仕様を説明できるほどにシステムを深く理解していただき、「ここまで社内に入り込んで対応してくれるのか」と驚きましたね。

また、リグレッションテストでは新たな観点からの気づきや的確な指摘を数多くいただき、非常に助かったことを覚えています。

グループAI・DX本部 ビジネスITアーキテクト部 ファイナンスBITA室 桒原 佑騎氏

宇野様:私が担当していたプロジェクトは「限られた期間の中でどのように品質を担保するか」、そして「どこまでのテストが妥当なのか」という判断が求められる非常に難しい業務でした。しかし、STELAQの担当の方が前線に立って一緒に向き合ってくださったおかげで、何とか最後までやり切ることができたと感じています。

このような難しい状況を乗り切れたのは、何かトラブルや懸念があれば、すぐに連絡を取り合える関係性を築けていたからだと思います。通常のチャットベースのやり取りに加えて、緊急時には電話でも対応してくださるなど、柔軟なコミュニケーションをとっていただけたことは非常にありがたかったです。

また、プロジェクトの最終的な品質を担保するうえで「開発ベンダーがOKと言っているものが本当にOKなのか」という点を第三者視点で確認・指摘してもらえる存在がいたことは、非常に大きかったと感じています。STELAQのメンバーは単にタスクを遂行するだけでなく、知見や気づきを積極的に共有してくれる姿勢がとても印象的でした。

判断基準が明確になり、社内にナレッジを貯めることができた

──STELAQの検証サービス導入後、どのような成果がありましたか?

宇野様:プロジェクトが計画通りに進まない場面も多くありましたが、STELAQの支援により「今やるべきこと」や「やらない理由」が明確になり、判断の軸を持てたことが大きな成果だと感じています。以前は「これで十分か?」と問われても回答に詰まる場面がありましたが、今はしっかりと根拠をもって説明できるようになりました。

桒原様:従来、SAPのようなSaaS導入の場合は製品の標準的な機能に対する検証はどうしても後回しになりがちでした。しかし、STELAQに入っていただいたことで、その領域にも深く踏み込むことができたのは当社にとっても非常に大きな成果だと感じています。

また、単にシナリオ通りにテストを実施するだけでなく、「この仕様は本当にこのままで問題ないのか」と、テスター自身の素朴な疑問や気づきを起点により踏み込んだ検証を行っていただきました。その結果、見過ごされがちな仕様上のリスクやカスタマイズが必要なポイントなどが明確になりましたね。

テスト会社に支援頂く場合、クライアントへのフィードバックが十分でなく、検証時のノウハウが蓄積できないケースも少なくありません。その一方で、STELAQは「せっかく一緒にやるのだから」と、ナレッジを惜しみなく共有してくださり、プロジェクト終了後も自走できる状態に導いてくれました。このスタンスこそが、STELAQが提供するサービスの大きな価値だと感じましたね。

STELAQとの協業で、状況に応じて外部の力を借りる重要性を認識。

──今後の展望やSTELAQとの関わり方を教えてください。

宇野様:今回の取り組みを通じて、すべてを内製でやり切るだけでなく、状況に応じてパートナーの力を借りる重要性を認識しました。これからは自社でレビュー・判断できる体制を保ちつつ、必要な部分で適切にパートナー企業に支援してもらうような、柔軟な協働関係を今後も築いていけたらと考えています。

桒原様:今回のプロジェクトを通して、私たちの中でも一定の品質基準というものが見えてきたと感じています。一方で、今後さらに新しいプロジェクトや複雑な案件が増えてくれば、目指すべき品質レベルや求められるナレッジの深さも上がっていくことが予想されます。

特にSAPではその特性上、今後もバージョンアップに伴うリグレッションテストが定期的に必要になります。今後、新たな課題に直面することがあった際には再びSTELAQのお力をお借りしたいと考えています。

──同じような課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。

桒原様:まずは自社の課題をしっかりと認識することが大切だと思います。私たちも今回、品質管理に関する課題を明確に持っていたからこそ、パートナーの支援を受ける判断ができましたし、結果として非常に多くの学びと成果がありました。

今回の取り組みで得られたものはゴールではなく、むしろここからさらに品質を高めていくためのスタートラインだと考えています。

宇野様:事業会社のIT部門にとって、テストや品質管理の業務を社外に依頼するというのは、なかなか検討しづらいテーマかもしれません。

しかし、一定以上の品質が求められるのであれば、そこにしっかりと意識を向けるべきタイミングもあると思います。この度、私たちはSTELAQに依頼したことで、単にテストの選択肢が増えたという以上に、従来のやり方や考え方を見直すきっかけを得ることができました。 具体的な提案を受けて初めて見えてくるイメージもあると思うため、もし同じような品質管理やテスト体制に悩みや課題を抱えている企業の方がいらっしゃれば、まずは一度STELAQのようなパートナーに話を聞いてみてください。

──本日はありがとうございました。

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