かつては設計・製造が完了すれば完成だった自動車ですが、現在は発売後もアップデートによって機能が追加・改善される時代になりました。機能追加や改善の主戦場はハードウェアからソフトウェアへと移行し、開発の考え方も「つくって終わり」から「改良し続ける前提で開発する」方向へとシフトしています。

そもそも車載ソフトウェアとは何か
車載ソフトウェアとは、自動車に搭載されるECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)をはじめとした各種電子装置を動かすための組み込みソフトウェアの総称です。
近年はセンサーやネットワーク通信の搭載が前提となり、車両データをリアルタイムに活用して機能を高度化させる方向への進化が加速しています。
車載ソフトウェアの具体例
① ADAS(先進運転支援システム)
衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援、自動駐車支援などをソフトウェアで制御する領域です。カメラ・レーダー・LiDARなどのセンサー情報をリアルタイム処理し、ブレーキやステアリングを制御します。現在は自動運転レベル2相当が多くの量産車に搭載されており、レベル3以上の実用化に向けた開発競争が続いています。
② 車載インフォテインメント(IVI)
ナビゲーション、音楽再生、通話、アプリ連携など「情報+エンターテインメント」を統合して提供する領域です。UI/UXの品質が車両全体の満足度を大きく左右するため、自動車メーカーにとって重要な差別化ポイントとなっています。
③ バッテリー管理システム(BMS)
EV普及に伴い重要性が急拡大しているシステムです。バッテリーの充電状態・温度・劣化度合いをリアルタイムに監視・制御し、安全性と走行性能を両立させます。
市場規模から見る車載ソフトウェアの伸び
矢野経済研究所の調査によると、国内の車載ソフトウェア市場は2023年見込みで7,850億円、2030年には1兆9,130億円に達すると予測されています。わずか7年あまりで約2.4倍になる計算です。また、2021年時点で制御系70.3%・車載IT系29.7%だった構成比は、2030年までに逆転する見込みとされています。
車載ソフトウェア開発に影響を与えた『SDV』と『CASE』
SDV——ソフトウェアで車の価値を定義する
SDV(Software Defined Vehicle)は、共通のハードウェア基盤の上でソフトウェアを更新することで、車の機能・性能・体験を後から変えられる設計思想です。OTA(Over The Air)による無線アップデートにより、機能追加や不具合修正をディーラー不要で実施できます。
SDVがもたらす主な変化
• 発売後もOTAで機能追加・改善が可能になる
• 完成車メーカー・サプライヤー・IT企業の三者連携が前提になる
• ソフトウェアの品質と開発スピードが競争力の核心になる
CASE——自動車を取り巻く4つの技術革新
CASEとは、Connected(コネクテッド)・Autonomous(自動運転)・Shared & Services(シェアリング)・Electric(電動化)の頭文字を取った造語で、自動車業界の変革を表すキーワードです。各領域において車載ソフトウェアが担う役割は異なり、それぞれに専門的な技術が求められます。
| 領域 | キーワード | ソフトウェアへの影響 |
| Connected | 常時接続・車両データ活用 | 通信ミドルウェア、クラウド連携、セキュリティ |
| Autonomous | 運転支援・自動化 | センサーフュージョン、AI推論、安全制御 |
| Shared & Services | シェア・サービス化 | アプリ連携、UI/UX、サービスプラットフォーム |
| Electric | EV・電動パワートレイン | BMS、電力管理、充電制御 |
車載ソフトウェアの開発事例
実際の開発現場では、どのようなテーマが取り上げられているのでしょうか。STELAQの開発事例を以下にご紹介します。
事例1:自動運転車の車室内監視システム開発
自動運転レベルが上がるにつれ、ドライバーや乗員の状態をリアルタイムで把握することが安全上の重要課題となっています。本プロジェクトでは、カメラ・センサーを組み合わせた車室内監視システムの組み込みソフトウェア開発を担当。センサーデータの処理・異常検知ロジックの実装に加え、開発期間の短縮に向けたチーム体制の最適化を実施しました。
【参考】
自動運転車の車室内監視システムを開発。チーム体制でプロジェクトに参画、開発期間も圧縮

事例2:ADAS・安全システム開発支援事例
法規対応を起点に、ADAS開発・サイバーセキュリティ・先行開発まで幅広い分野で開発支援。部品共通化によるコストダウンを実現し、開発した検査手法が特許として認められ、弊社エンジニアが共同発明者として記載される成果を上げました。協力会社の枠を超えたパートナーシップを数年にわたって継続しています。
【参考】
コストダウン・プロパー育成まで実現。大手自動車メーカーのADAS・安全システム開発支援事例
事例3:電気自動車(BEV)向けECU評価
課題と取り組み
次世代BEV開発の立ち上げ期から参画し、ECUのソフトウェア評価体制をゼロから構築。HILSシミュレーション環境・ECU評価を担当しながら、ISO 26262およびA-SPICE準拠のプロセスに則り評価工程を安定的に推進。担当する評価領域でプロジェクト統括者から継続的な高評価を得ています。
【参考】
ゼロから立ち上げた次世代BEV向けECU評価。ISO 26262・A-SPICE準拠のソフトウェア評価体制を構築
まとめ
車載ソフトウェアは、ADAS・インフォテインメント・BMSなど幅広い領域で活用されており、CASEの潮流とともにその重要性はさらに高まっています。
一方で開発には高い専門性と実績が求められるため、パートナー選びが成否を左右します。STELAQでは豊富な開発実績をもとに、お客様の課題に合わせた最適なソリューションをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。
STELAQでは車載ソフトウェアの開発を支援します
自動車(車載)業界での豊富な組み込みソフトウェア開発実績を基に、STELAQは貴社のソフトウェア開発プロジェクト成功を力強く支援します。ハードウェア連携やリソース制約、高い信頼性・安全性要求といった組み込み特有の課題や、品質定義・テスト体制構築に対し、上流工程から開発、第三者検証まで一貫してサポート。プロジェクト全体の課題解決に貢献します。
• 豊富な組み込み開発の実績
• 上流工程から開発・検証・教育まで一気通貫の支援体制
• 個社に合わせた柔軟なサポート
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